「でも,うまくいかない」を「こうすればいいのか」へ(豊田誠一郎)

公開日: 2016年2月3日水曜日

 しかし,「横に移動しているけど,半身になっていない」「少し前にボールが来た時には,すくい上げるようにして打ってしまう」などと,「なるほど…,でも,うまくいかない」という新たな躓きがでてくることが予想される。本時は,そのような躓きを解決するための動きのコツを考えていく場面になる。

 まずは,それらの躓きを表出させる。その後,「横向きのまま移動しているので,半身になっていない」「少し前に来た時,真っ直ぐボールの方向に向かっている」などの躓きの原因を,これまでの経験を基にして語らせたい。そして,次のような課題を設定する。

 横や前後に移動して半身になるための動きのコツは?
 
 前時に二つの動きを比較させた場と同じ場で,横や前後に移動して半身になる動きを繰り返させる。コートの半分を使用し,相手チームの子どもが正面に投げたボールを打ち返させ,動きのコツを見出させていく。ネットの1.5mほど上に張ったゴムとネットとの間をボールが通過したら1点とする。ゴムとネットの間を通過したことを,山なりのふんわりしたボールではなく,ライナーの力強いボールを返球した目安とするためである。

 上述した場において実際に動きながら試行錯誤させることで,「でも,うまくいかない」という悩みが次第に解決され,「こうすればいいのか」という「実感」に変わっていくように誘っていく。その際には,自分だけではなく仲間にも通じる動きのコツを「どんな感じで動くのか」という観点から見出していくように働きかける。子どもたちは,次のような動きのコツを見つけていくのではないだろうか。

a 体をひねるようにすると,正面に来たボールも半身になって打てた。
b 少し前にボールが落ちた時は,(右利きの場合は)左足を左前に出しながら体を開くような感じで打つと半身になって打てる。力強いボールを打ち返すことができた。
c 少し後ろのボールは,右足を後ろに引くような感じで体を開いたらよかった。
 
 試行錯誤しながら見出した動きのコツは,クラス全員に紹介させる。その後,「どうしてもうまくいかなかった」場面について語らせたい。そして,その躓いている子どもの困り感にみんなで寄り添わせながら,「どのコツが,その場面を解決するコツなのか」「(紹介したコツで解決しそうにない場合は)どんなコツだったら解決しそうなのか」について「対話」させていく。次のような「対話」を期待したい。

d 少し後ろのボールが半身になってうちにくいな。
e c君が言っていたように,右足を後ろに引くような感じで体を開いたら,半身になって力強いボールが打てるんじゃないかな。
d なるほど,(その場で動きながら)なんとかできそうな気がする。
f だけど,もっと後ろに来た時には,右足を後ろに引くだけでなく,バックステップで下がりながら開くようにするとうまく打てたよ。

 
 ゲームにおいては,横や前後に移動して半身になっている動きが生かされている場面を積極的に取り上げたい。2セット終了後,他の子どもたちに紹介し,そのよさを確認させていく。
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